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 2003年度第二期リレー小説
「蘇る大森林 〜ノエリットの奇跡〜」28回(そろそろ加速)     18%gray



 にしても驚いた。
 朝、フリエの絶叫で目が覚めたらウサギが大量で、その一匹がしゃべったあげく、 「ついてこい」と。そりゃついていくしかないだろうよ。
 他の兎はこの一匹に指示されてどこかに消え、一向は、残ったこの兎と共に《通 路》を進んでいるのだった。兎とアイゼンが並走し、少々遅れてジークとフリエがつ いてきている。
 ふと、アイゼンが兎に向かって口を開いた。
「あいつら、どこ行ったんだ?」
 あいつらとは、もちろん、さっきの兎の大群である。
「伝令に出しました。彼らなら、エンシャンルオートまで3日ほどでしょう。ああ、 あなたのお仲間がエンシャンルオートに辿り着くまでに届けばいいのですが……」
「あの連中(グディアルメフ)の足だからなぁ……。だがよ、エンシャンルオートの大 絶壁って、何がそんなに危ないんだ?」
「ゾルキーの怪鳥です」
 兎はやはりぴょんぴょん跳ねながら、神妙な面持ちで答える。
「牛一頭なら軽々持ち上げてしまうくらい大きな怪鳥が群れをなして。あんなの、 今存在していいものじゃない ・・・・・・・・・・・・・ のに!」
「は? どういうことだ?」
「とっくの昔にいなくなったはずの生き物なんです。それが、なぜか今いるんです よ、エンシャンルオートの大絶壁に!」
「??」
「少し前から森の様子がおかしかったんです。始めは、ささいな違和感だったのです が、しばらくしてスピリットたちが騒ぎ始めて、どんどんと森の空気がねじれていっ て、そしたら森の一部の様子が丸っきり変わってしまって、そしてゾルキーなんかも 現れて……まるで、 時間が傾いでしまってるかのように ・・・・・・・・・・・・・・・・ !」
 兎は、なおも続ける。
「エンシャンルオートが危険なのは、ゾルキーだけじゃありません。森の異常の起点 がエンシャンルオートなのです。森全体がこんなに不安定な状況で人間がエンシャン ルオートに入ってしまったら……それこそ、どうなるか」
「……要するに、そこは不思議ゾーンなわけだな。しかも、かなり危なげな」
 兎の話をアイゼンがまとめる。事の深刻さを理解してのことなのかはなはだ疑問な その言葉に、兎は密かに嘆息する。アイゼンは、兎にもう一つ質問をかぶせた。
「で、俺たちはどこに行くんだ?」
「それは……」
 言いかけて、兎は立ち止まり、後ろを向いた。
「どうした?」
 つられて振り向いたその先、
 いない。後ろを走ってきているはずの二人の姿がない。
 あー、また置いてきちまったか、と後ろに向き直り、アイゼンは今来た方向を見 やった。
 森の薄い闇の向こう、人影は見当たらない。
 風が、《通路》を吹きぬける。
 ざわり、
 いやな予感がした。
「おい兎。戻るぞ」
 マントを翻し、アイゼンは駆出した。


 フリエとジークは、森の中で立ち尽くしていた。
 《通路》を風が吹きぬける。フリエの前髪をかすかになびかせる。しかし、彼女は それをまったく意に解することなく、彼女の見開かれた眼は、前方に立ちはだかる人 影に釘付けられていた。
 不意に駆け出した兎をアイゼンが追いかけ、そのアイゼンを慌てて追いかけたのは いいものの、脚力の違いに次第に引き離されて彼の姿を見失ったのが数分前。
 二人とも立ち止まって呼吸を整えていたところに、その人影は現れた。
 音もなく、
 気配すら感じさせず現れたそれは、
 フリエを目の前に、
 不敵に微笑んだ。
 あまりの唐突さに、二人は絶句するのみ。やがて、震える唇で、フリエはその人影 の名を呼ぶ。
「……ウリス」

……to be continued.





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