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2003年度第二期リレー小説 「蘇る大森林 〜ノエリットの奇跡〜」(教団は今回も出番なし) 第15回 halfwing 「まず予めに言っておくが、俺は暗号解読できないからな」 剣士は開口一番そう言った。結局場所を移す事になり、入り口から一番近い フォルスの部屋に3人で入ったのだ。そして各々が本を机に置いて、さあ始めるかと なったところで剣士のこの発言。 「はぁ? なんだそりゃ?」 珍しくフォルスの意見に同意するティアがいる。確かにこの剣士は魔術師っぽ くないなとは感じていた。しかし、所持者である以上、解読ぐらいはしていると勝手 に思っていたのだが。 「書を読めないということですか?」 「ああ、だが内容はばっちりだぜ!」 不機嫌さを滲み出して聞くティアに剣士は自信満々で答えた。 「友人の魔術師に翻訳してもらったからな」 気楽に言う剣士にティアのいらいらはますます募る。 「自分で読もうとする気はなかったんですか?」 「適材適所だろ? それに……本を読む事と本に書かれたことを実行するのは別 の事だ」 ティアの怒りの原因が思いつかないのだろう。剣士が怪訝な顔で答える。 「…………道理……ではあるな」 苦虫を押しつぶした顔でフォルス。 「どうしたんだ、一体?」 不可解そうな面持ちで剣士が尋ねてくるが、答える気にはならなかった。 「別になんでもないわ」 「別になんでもねえよ」 不機嫌そうな声がはもる。剣士はしきりに首をかしげて 「そうか? ならいいが……はじめるか?」 魔術師二人が無言で頷く。 「字が……違うな。模様は一緒だけど」 初めのページを開いて呟いたのは剣士だった。内容ばかりに気を取られていて 気に留めてなかった。 「書き手が皆違う……」 「だが、暗号は……いや序章そのものが同一内容か」 ティアはフォルスと顔を見合わせた。 「ん? どうかしたか?」 重要なヒントかは分からない。それでも、今まで気がつかなかった情報を得ら れたのは事実だ。 「え……いや」 どう言葉に直していいか分からず、ティアは困った顔をした。 「まあいいか。次いこう」 あまり細かい事にこだわらない性質らしい。戦士が次のページをめくる。内容 は3書とも同じ。 変化があったのは次のページからだった。ティアとフォルスは一緒。剣士の本 のみ全く内容が違っている。 「あ、俺のだけ模様が違う」 「ええ。これは……『過去の森』に関する記述?」 「間違いないようだな」 フォルスも頷く。 「ああ、この本には『過去の森』がなんで『過去の森』と言われるようになった かが書いてあるぜ」 剣士も頷いた。 「なんでも、昔森が滅んでしまったときに、グディなんとかっていう神様に頼ん で過去から滅ぶはずだった森を召還したって話だ」 大雑把に青い本の内容を説明する剣士。 いくら七賢者と呼ばれる英雄達でも森を召還するなどという魔術が使えるとは 思えない。だが、滑稽な想像が頭をよぎる。 「……1780年前に妖精と人間が集団で衝突したはずよね」 「ああ、もしそれが森の減少に伴うものだとしたら……」 それならば、今まで謎とされている妖精との衝突も、昼間見たおかしな光景の 説明もついてしまう。 さらにもう一つ。 「そのグディって……」 「……グディアルメフだよなぁ」 紫の書に書かれている事とリンクしている可能性は高い。 「おお、それだ。待てよ……最近聞き覚えがあるようなないような」 顔に手をあて考え込み始めた剣士の横で、ティアとフォルスはこっそりため息 をついた。 |