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2003年度第二期リレー小説 「蘇る大森林 〜ノエリットの奇蹟〜」(森の構造に ついては部室で解説) 第13回 ふ 「ウリスですって……!?」 自分 の声は引きつっているだろうか。フリエは、頭のどこかでぼんやりとそんなことを思っ た。 「ウリス=モエルティマを知っているのね。それなら、お話を聞かせていただけ ます?」 「モエルティマ!?」 今度は魔道士の二人が、いきなり叫んだ。 しまった。この村でモエルティマの名前はまずかったか。なんとなく、周囲の村人たち までが動揺している気配がある。 「モエルティマというのは、もしかして16年前の ……?」 中年の男性も口を挟んでくる。 「ノエリット・ヴァーン……そういえ ばここじゃないか!」 剣士風の若者は、今さら気づいた風だった。 ローブの 怪しい男たちも、仲間同士でざわついているところを見ると、モエルティマの名を知って いるらしい。御輿の上では、頭に兎を乗せた男が眼を見張っている。 「では、そなた はウリスでは……!?」 「私はウリスを探しに来たのです。ウリスのことを知ってい るなら、話を……!」 しかし、今や誰も彼もが混乱して、宿の前の路上は騒がしく なっていた。玉座の傍らにいる少年まで動揺している。例外は怪しい男の頭に乗っている 兎だったが、これはただキョトンとしているだけに見えた。 「奥さん、もしかしてこ れと似たような本をお持ちではありませんか?」 突然、娘がフリエに声をかけた。 その手には、見覚えのあるリース模様の、朱色で装丁された本があった。もう一人の魔術 士も、一瞬だけ遅れて娘の意図を理解したらしい。自分の墨色の本を取り出して見せる。 すると、中年の男も緑色の本を、剣士風の若者も青色の本を、さらには御輿の上の男まで が紫色の本を差し出した。 まさか、こんな奇天烈な事態が待っていようとは……だ が、ともかく鍵はあったわけだ。 自分の朽葉色の本を取り出して見せると、フリエ は落ち着いた声でゆっくりと名乗った。 「私はフリエ=モエルティマ、モエルティマ 博士の娘です。ウリス=モエルティマは私の妹にあたります。」 表の戸が開い て、人の群がぞろぞろとなだれ込んで来た時、女将はずいぶんびっくりした。その集団の 先頭にいるのが、さっき出て行ったばかりのフリエだと気づくと、女将は少し不審に思っ た。さらに集団の中にティアとフォルスがいるのを見つけると、女将はこれを理解するた めには少し頭を使う必要があると思い始めた。 しかし、集団の最後尾を見た時、女 将はつい反射的に口を開いていた。 「ファラリスじゃないか、どうし……」 集 団の眼がいきなり女将に集中した。 困惑が12 動揺が4 険しい不審が 34 これは、もしかしてマズイことを言っちゃったかねえ……。 女将は 心の中でつぶやいた。 |